名古屋〜大島 小林監督からの報告

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7月上旬、名古屋での劇場公開での舞台挨拶やテレビ出演、その後伊豆大島での上映&講演会へと渡航した小林茂監督からのレポートが届きました:

7月4日(土)
名古屋シネマテーク初日。会場いっぱい駆けつけてくれ、補助イスがでる。名古屋では1982年くらいから20年間、「名古屋福祉映画祭」に参加してきた関係で、車椅子利用者の友だちも多い。昔は映画館へ車イスで行きにくかった。「自分たちも映画を見たい」という思いが、「福祉映画祭」の動機のひとつでもある。この日も数人が参加。エレベーターまでの階段は皆で担いで、劇場も狭いので、それぞれ時間帯をずらして来てくれる。「シネマテークは少し不便だけど、スタッフがとても気軽で来やすいよ」と映画好きな車椅子利用のHさん。

午後5時からは松下照美さんの講演会を鵜飼信孝ご住職の計らいで乗西寺で行い、そのまま懇親会。映画を仲立ちに友だちができる。うれしい。名古屋よ、ありがとう。後日、障がい者の権利拡充に奔走してきた方からメールをいただいた。
 

昨日は、『チョコラ!』、ありがとうございました。
映画のフィルムの向こう側には、言うに言えないことが
山ほどあって、哀しくて、切なくて、、、。


だけど、生きていかなくてはならない現実。
生きていることのすばらしさを伝え続けなければ、
自分のこととして捉えられなくなってしまう、
愚かな人間。

久々なのはいけませんが、
福祉映画祭の頃の自分をみつけました。
ありがとうございました。



7月8日(水)
NHK名古屋の午前中の生番組「さらさらサラダ」に出演。人物を浮かび上がらせる番組で『 阿賀に生きる』『わたしの季節』などとともに『チョコラ!』を宣伝。ドキュメンタリー映画に何をみてきたのか。透析をしながら、次回作があるのか。自分を振り返った。

7月9日(木)
静岡。以前、法務省の国際協力の部門から、ケニアのリハビリテーションスクール(映画では更生院)に派遣されていたという大学の先生と会う。映画の舞台のティカとは割合近いところだったようで、「映画はとてもなつかしい」とのこと。「いつもつきあっていた子どもたちが映画の中に出てくるのですからねえ。施設では逃亡事件などいろいろ子どもたちはやってくれました。『チョコラ!』を先に見ていたら、子どもたちとの対応も違っていたのではないかと思うほどです。路上生活や家族との関係など実態は知りませんでしたし。映画の中でピラフを作る場面がありますが、おいしそうでしたね。施設では食事はすごく悪かった。逃げ出すのもわかるような気がしました」。

7月12日(日)
午後7時。伊豆大島南端、波浮港近くの都立海洋国際高校の寄宿舎(ドミトリー)での『チョコラ!』上映と私の講演会。男女あわせて約160人が参加。ここはほぼ全員が寄宿舎生活。船も所有し、生徒はスタッフとして長い航海に出る。「海を通して世界を知る」というのが目標の一つでもある。

この高校の前身となる大島南高校の時代に起きた生徒水死事件が、現在のこの高校の礎にあるという。1995年5月、同校の1年生ら12人が上級生が計画した寄宿舎近くの港での度胸試しに参加。高さ約10メートルの堤防から飛び込み、3人が水死、1人が行方不明になった。上級生のしごきやいじめが常態化した中で4人が飛び込んだ、教職員は事故を予見できたと裁判所が認定した。(共同記事より参照)
毎年5月、慰霊碑の前で全員が祈るという。

「チョコラ!」上映。今回の講演はケニアでの実体験を話してほしい、というS先生の希望もあり、映画のシーンをなぞる形で映画撮影の現場を話した。水浴びするチョンバとの出会いと彼の肉体の意味するところ。マウラの突然の死去。アンドリュウーの父との関係。庭をゆっくり歩き、甥っ子との記念撮影の場面の意味。HIVに感染しながら映画に登場してくれたルーシーさん一家。その長女マーガレットが食事の前に「コバ(私のこと)の病気が良くなりますように」と祈ってくれたことにたいする衝撃と私の変化。ペンキの缶でピラフを作り、歌い踊る夜のシーン。「生きるということは、本来、サバイバルで、それだけで、おもしろいものではないか」と結んだ。

講演後、生徒に囲まれ質問攻めにあった。その中に「受験の準備で忙しくて、こんな会には出たくない」と言っていた生徒も含まれていたと、翌日、先生から聞いた。

翌朝、港までS先生から送ってもらう。港には、「昨日の映画と講演がとてもよかったので、監督と会いたくて来ました」という地域のご婦人二人が待っていた。地域の方々も参加されていたのだ。船が出る。3人が手を振って別れを惜しんでくれ、私も手を振った。「伊豆の踊り子」の下田での分かれのシーンのようだ。そうすると、私は高橋英樹か三浦友和か。大島は「伊豆の踊り子」のモデルとなった旅芸人一家が住んでいた島でもある。(小林茂)

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