昨年5月の劇場公開から早くも1年とちょっと。
この間、本当に大勢の方々に映画をご覧いただき、そしてそれぞれにケニアの路上で生きる「チョコラ」たちとの出会いを経験していただきました。
そしてついにこの度、5月29日(土)から、DVDとなって発売されることとなりました!
映画「チョコラ!」DVD
定価 ¥5,040(税込)
品番: KKJS-95/JANコード: 4523215038881
【特典】劇場用予告篇/チョコラ!特別編/モヨ・チルドレン・センターの今/英語版同時収録/視覚障害者向け 音声ガイド/聴覚障害者向け 字幕ガイド/封入ブックレット(24ページ)
提供=カサマフィルム
発売元=スターライトフィルムズ
販売元=紀伊國屋書店
●お求めはお近くの書店・レコード店、または紀伊國屋書店 Forest Plusからどうぞ!
※教室や図書館など少人数限定での上映権付き・団体向けDVDパッケージも21,000円にてご用意しております。またお近くでのご購入やネット通販が難しい方なども、どうぞお気軽にお問合せ・ご相談下さい。
これまで良質な作品の数々をリリースし続けてきた紀伊國屋書店さんに今回お世話になる事ができて、スタッフ一同、大変光栄に思っています。何しろ、私たちの同志であり、カサマフィルムの元代表・佐藤真監督のDVD BOXも紀伊國屋書店さんが販売元です。
また、今回間に入っていただいた、スターライトフィルムズさん、マーメイドフィルムさんには、実際のDVD制作の現場を全く知らない私たちに代わって、全ての行程をリードしてくださいました。マーメイドフィルムの村田さん、三原さん、スターライトフィルムズの佐藤さんのお力無しにはここまでたどり着く事はできませんでした。本当に、ありがとうございました。
更に、今回DVDのジャケットやレーベル、封入ブックレット、そしてメニュー画面に至るまで全てのデザインを担当してくださった、デザイナーの渡辺さん。劇場公開時にもあらゆる宣伝材料のデザインを担当してくださった、超売れっ子デザイナーさんです。実は渡辺さんとは90年代からのお付き合いで、この映画を編集している段階から、この映画には渡辺さんしかいない!と既にデザイナーを想定しながら作品を作っていました。それが、最終的にもこのように見事な仕上がりとなり、感無量です。ありがとうございました!
また今回、封入ブックレットには、昨年劇場用パンフレットで使用した原稿のうち、署名原稿としていただいた映画評やコメント以外の全ての要素をそのまま掲載させて頂きました。こちらの劇場用パンフレットを昨年編集してくださった遠藤さんは本当に心から信頼のおける方で、私は遠藤さんとの作業を通してキチンと物事を進めていく事の大切さを教えて頂きました(個人的な感想ですみません)。また、パンフレットのティカ・タウンマップのイラストを担当してくださった森泉さんには、今回のDVD封入ブックレットへの掲載も快く承諾して下さり(今度は白黒印刷になってしまい、申し訳ありません!)ありがとうございました。お二人のご協力を得て完成した封入パンフレットは、内容がとても充実していますので、ご期待下さい。
そして今回、DVD化に際しての新しい試みとして、視覚障害者向けの「音声ガイド」と、聴覚障害者向けの「字幕ガイド」のトラックをそれぞれ制作・収録しました。
こちらは長岡の小林茂監督を支えてくださる支援者の方からいただいた資金を元に実現することが出来ました。ありがとうございました。
チョコラ!と音声ガイドの関係は実は古く、2008年9月に長岡アジア映画祭でワールドプレミア上映(!)した最初の上映時に既に、長岡音声アシストの会によるライブでの音声ガイド付き上映が行われていました。その後、しばらく機会がなかったのですが、昨年9月、「水俣」を子どもたちに伝えるネットワーク主催の相模原での上映会にて、伝えるネットの皆さんが、長岡で作られた原稿を更にブラッシュアップしての音声ガイド上映が行われました。この時、原稿作りから上映時の音声配信まで全てに渡り、音声ガイド上映推進団体・シティライツの方々、特に代表の平塚様に大変お世話になりました。私がチョコラ!の音声ガイドに初めてちゃんと出会ったのはこの時でした。
音声ガイドというと、テレビドラマの副音声としての存在を知っていた程度でしたが、チョコラ!の音声ガイドを聞いて、驚きました。これは、もしかしたらこの映画が極力説明を排した表現を心がけている事と関係があるのかもしれませんが、音声ガイドと一緒にチョコラ!を見ることで、今までとは全く違った映画体験が出来るような気がしたのです。
映画を制作した私たちの側からすると、一義的には、映画をそのままの姿で鑑賞して欲しいとの思いが当然あります。しかし、"おせっかいにならないようにキチンと配慮された内容での解説であれば" という条件付きになるとは思いますが、チョコラ!に付けてくださった音声ガイドと共に自分たちの映画を観た時に、全てのカットを知り尽くしていると思い込んでいた自分にとっても全く新しい発見や、映画からさらに想像力をふくらませた見方ができる事に気付かされました。
これは、全く新しいバージョンの「チョコラ!」です。
解説部分のナレーターは、「タチヨミスト橘しんごの雑誌チェック」で有名な橘しんごさんにお願いしました。しんごさんの、プロっぽいどこか突き放したような語りの中にひそむ遊び心やあたたかさが今回ぴったりハマりました。
また、セリフのボイスオーバーは、私たちがチョコラ!の音声ガイドに初めて出会った相模原での上映会の際に担当されていた有山恵子さんにお願いしました。上映会の時、有山さんは、いわゆる「吹替版」的な過剰な感情は一切込めず、淡々と、しかし子どもたちの気持ちがダイレクトに観る側に伝わるように配慮をしながら読んでくださっていました。この時の音声ガイド上映があまりに素晴らしく、ボイスオーバー部分についてはもう有山さんしかいない!とお願いすることになりました。
また、このように手間のかかる音声ミックスの作業で連日夜遅くまでお付き合い頂いたアクティブ・シネ・クラブの皆さん、特にMA担当の村上さんにはこれまでも様々な場面でお世話になってきました。いつも甘えてばかりでごめんなさい! そして本当に、ありがとうございました!
そしてこの音声ガイド版での上映会を、DVD発売記念として6月5日(土) 19:00より、お茶の水のスペースneoにて開催致します。何度もチョコラ!をご覧いただいている方も、ぜひこの機会にチョコラ!の最新バージョンをご体験下さい!
こんなに長い文章にするつもりは全く無かったので、そろそろやめます(^^)
でも最後に、字幕ガイドと字幕そのものについても触れさせてください。
今回、聴覚障害者用の字幕ガイドも収録することが出来ました。ガイドの制作は、本編の日本語・英語字幕も担当してくださった、Passo Passoの赤松さんに今回もお願いさせて頂きました。また、ガイド制作を進めていく中でのアドバイスを、ムービー北海道さんから頂きました。ありがとうございました。
字幕というものは、本当に奥が深いものです。今回の赤松さんとの作業を通して、字幕ガイドに限らず、字幕の入れ方1つで作品全体の見え方がガラッと変わる瞬間を何度も経験させて頂きました。赤松さんの字幕なしには、チョコラ!はいつまでも完成しなかったと思います。
実は、同じように表にはなかなか見えないけれども、映画にとってとても重要な作業に「音」の作業があるのですが、これについてはまた改めて、整音をしてくださった久保田さん、それから音楽のサカキマンゴーさんへの賛辞としてご報告させていただければと思います。
最後の最後に、この映画の制作を提案してくださり、撮影中から編集、そして公開に至るまで私たちと二人三脚で動いてきてくださった、モヨ・チルドレン・センターの松下さんをはじめとするスタッフ、支援者の皆さんに心から感謝致します。
そして、この映画の製作をカサマフィルム代表として、そしてまた友人として積極的に進めてくれた故・佐藤真監督。また、本当に大変な時期だったにも関わらず、映画の製作に最後までご協力くださったご家族の皆さん。本当に、ありがとうございました。佐藤真監督が最後に関わった映画という名に恥じない作品になったかどうかは大変心もとない部分がありますが、おかげ様でDVD発売まで漕ぎ着けることが出来ました。
そしてこの映画は、映画に勇気をもって出演してくれた子どもたちのものです。
DVD発売を経て、世界中のより多くの人々とティカの街の子どもたちとの出会いが生まれ、更なる関係へと発展していく事を願ってやみません。
私たちはそのお手伝いがしっかり出来るよう、これからも非力ながら活動を続けさせていただきます。
ぜひ、DVDをご購入下さい。そして、よろしければ自主上映もぜひ企画してみてください。また、可能でしたら現地を訪れてみてください。これからもどうぞ息の長いお付き合いをどうぞよろしくお願い致します!
秦 岳志
ps. 配給の東風の皆さん、宣伝でお世話になった原田さん、上映をいちはやく決めてくださったユーロスペースの北条さん、岡崎さん他、まだまだまだまだ、お礼を言いはじめたらきりがないのですが、今日のところはこのへんでとりあえず!
「とても長い謝辞」を読みながら、「チョコラ!」製作の日々をふり返りました。ケニアに、たびたび手紙を送ってくれた佐藤真監督。そこに添えられた言葉は、佐藤さんの世界に渡るつり橋のようです。
「・・・・ああこんなことを書きながら撮影現場がとても恋しくなってます。やはり映画の最大の楽しみも苦しみも現場にあるのでしょう。急に撮影に私も参加したいようなむずむずとした気分になってきました。といった嫉妬を少しお送りして、手紙に替えます。お元気で焦らずにじっくり最後の日々を楽しんでください。佐藤真」
映画つくりは苦しいものです。その山々をのり越えて、完成というゴールを迎え、観客のみなさまに見てもらうと、どこからか、また、あの苦しい日々にもどりたくなる風が吹いてくるのです。生きていることと映画つくりが同義な“時間と空間”。実は最高にしあわせな瞬間だったと気づくのかもしれません。
映画は、まさにハタさんの文章でもお分かりのように、多くの人びとが織りなすにんげん模様によってできています。縦糸も横糸もお互い肩を組みあって、ふんばっています。
のどが渇いて井戸水を飲む。そのとき細胞のすみずみまで清水が浸透するように、みなさまへの感謝の気持ちが湧き上がってきます。 「チョコラ!」監督・小林茂